注意事項:当サイトのコンテンツをご利用いただく全ての方は、利用規約に同意したものとみなします。
このサイトの掲示板は情報交換やコミュニケーションが目的で設置されています。投稿内容の信憑性については、
各個人の責任においてご判断下さい。全ての投稿において、投稿者には法的な責任があることをご認識ください。
また、掲示板上で誹謗・中傷を受けた場合は、速やかにサイト管理者までご連絡をお願いいたします。→連絡先

カナダ・ブログ

カナダに関連するブロガー集まれ!!
カナダ・ブログに登録して、自慢のブログを紹介しませんか?
共通の話題で新しい出会いがあるかも?

No.201

カナダでちゃんとお金の話

byChelsea
社会人さん、学生さん、駐在さん、PR永住者さんも、移民さんも、ワーホリさんも...、
カナダ生活、しっかりお金のことを理解したいアナタのためのお役立ちブログ。
ブログを更新する
カナダでのリタイアメント: Registered Retirement Income Fund (RRIF) 2024-12-20 07:02:00

RRIFとは

Registered Retirement Income Fund (RRIF) とは、リタイア後のために貯蓄/運用してきたRRSP (Registered Retirement Savings Plan) の資金を、リタイア後の収入として活用するために利用される制度です。リタイアをする (RRSPから資金を収入として引き出し始める) と決めた時点で、RRSPからRRIFへとその資金を「変換」することでRRIFを「開設」することとなり、RRIFのルールに基づき税制の優遇を受けながら効率的な資金の引き出し/取り崩しを行うことが出来ます。
一般的なシナリオを例に挙げつつ、手順を追って理解していきましょう。

1. 「RRSP」から「RRIF」への変換

「RRSPから資金を収入として引き出し始める」と決めた時点においてまず行うことは、その資金を「RRSP」から「RRIF」に「変換」させることです。これは、RRSPを保持している金融機関に対しその旨を伝えることだけで実行することが出来ます。
あえて「変換」という言葉が使われるのには理由があります。この「変換」とはまさにただその「箱の名前を換える」だけの手続き。資金を実際に移動させることもなければ、投資内容を変更する必要も (つまり売却や利益確定をする必要も) ありません。
また、この「変換」はいつでも行うことが出来ます。唯一のルールは「71歳の誕生日を迎えるその年の終わりまでに RRSP内の資金からの『変換』を完了しなければけない」ということだけ。

2. 「RRIF」からの引き出し

RRIFへと変換された資金は、自由な頻度で引き出しを行うことを設定できます。ここで言う「引き出し」とは、RRIFの口座から例えばChequing口座に資金を移動させること。つまりまさに「自分自身に給与を与えるかの様に、資金を移動させること」。細かなルールは金融機関によりますが、例えば毎月/毎四半期/年一回..等、その頻度を選択することが出来ます。
また、引き出す金額についても自分自身で設定できます。例えば CPP (退職者年金) やOAS (老齢年金) 等を既に受け取っている場合などは、それらの支給額も踏まえた生活費を鑑み、RRIFからの引き出し額を自身で決めることが出来ます。

3. 最低引き出し額

引き出し額に上限はありません。ただし下限、つまり「最低引き出し額 (minimum withdrawal)」があります。
最低引き出し額は、年齢を元に定義された最低引き出し率を元に計算されます。

年齢 | 最低引き出し率 (%)
55歳2.86%65歳4.00%75歳5.85%85歳8.51%95歳+20.00%
56歳2.94%66歳4.17%76歳5.98%86歳8.99% 
57歳3.03%67歳4.35%77歳6.17%87歳9.55%
58歳3.13%68歳4.55%78歳6.36%88歳10.21%
59歳3.23%69歳4.76%79歳6.58%89歳10.99%
60歳3.33%70歳5.00%80歳6.82%90歳11.92%
61歳3.45%71歳5.28%81歳7.08%91歳13.06%
62歳3.57%72歳5.40%82歳7.38%92歳14.49%
63歳3.70%73歳5.53%83歳7.71%93歳16.34%
64歳3.85%74歳5.67%84歳8.08%94歳18.79%

当該年における1月1日時点でのRRIFの残高に対し、当該年齢の最低引き出し率を掛けた値が、その年の最低引き出し額となります。

例.
66歳となる年の1月1日の時点でのRRIFの残高が $750,000
66歳の年に対して適用される最低引き出し率 (%) = 4.17%
よってこの年の最低引き出し額は

$750,000 x 4.17 % = $31,275

引き出し頻度の設定に関わらず、一年においてこの最低引き出し額分の額は必ず引き出しを行わなくてはいけません。

4. Withholding Tax

最低引き出し額ピッタリの額を引き出したとすれば、実際に受け取る額はピッタリそのままその額です。ただし、もしこの最低引き出し額よりも多くの額を引き出した場合は、その超過分に応じて設定された Withholding Tax が適用され、その分が引かれた額を受け取ることになります。

最低引き出し額超過分へのWithholding Tax
超過額Withholding Tax率 (%)
$5,000以下10%
(ケベック州 5%)
$5,001~$15,00020%
(ケベック州 10%)
$15,001以上30%
(ケベック州 15%)

例.
66歳での年初の残高 ($750,000) と最低引き出し率 (4.17%) をもとに計算された最低引き出し額が $31,275 とする
対して、実際の引き出し額を $40,000 とすると
超過額: $40,000 - $31,275 = $8,725

$8,725 の内、最初の $5,000 の超過分への Withholding Tax: $5,000 x 10% = $500
$8,725 の内、$5,001~$15,000 の超過分への Withholding Tax: ($8,725 - $5,000) x 20% = $745
Withholding Tax 合計: $500 + $745 = $1,245

よって実際の受け取り額: $40,000 - $1,245 = $38,755

このWithholding Taxの徴収は、金融機関が引き出しを行う時点で「Withholding Taxが引かれた額だけしか渡さない」という形で行われます。

5. 課税対象所得

忘れてはいけないのは、超過額の有無に関わらず、最低引き出し額と超過額を含めた受け取り額全てが最終的に課税対象の所得となるということ。
つまり
  • 最低引き出し額分は、Withholding Taxを避けられたとしてもあくまで課税対象所得
  • 超過額分は、Withholding Taxが引かれた上にさらに課税対象所得
だということ。



大まかなルールとしては以上の通り。しかしこれだけのルールだけでも、毎年..
  • 十分な生活資金となる額を、
  • 節税をしながら、
  • 資金が尽きないように、
  • 自分がいつ亡くなるかはわからないという条件の中で
..中長期に渡りうまくやりくりをするためには、しっかりとした計画が必要だということがわかるのではないでしょうか。 
実質的にはさらにここに...
  • RRIF内の資金は (変換前のRRSPの状態の時と同様に) 非課税で運用し続けられる
  • RRSP内の資金全てを一度にRRIFに変換する必要はない (RRSPとRRIFを同時に保持できる)
  • 71歳までの間であれば、RRIFからRRSPに資金を戻すことも可能
といった要素も加わり、やりくりの複雑さ (または柔軟さ) はさらに増していきます。

リタイアメント全般、またはRRSP資金に関するプランや考え方は人それぞれ。RRSPの資金額によっては65歳よりも早い時点でのリタイアを考える人もいるでしょうし、仕事や生活の状況を踏まえてできる限りリタイアは先延ばしにしてRRSP資金を最大限増やし続けたいと考える方もいることでしょう。
RRIFの制度と、次に取り上げるAnnuity、それぞれのルールと利点等をしっかり理解し、自分に合った「リタイア後の収入」のやりくりを行うようにしましょう。



カナダでのリタイアメント: Annuity 2024-12-20 07:01:00

Annuityとは

Annuityとは、リタイア後のために貯蓄/運用してきたまとまった資金を、リタイア後の収入として活用するために利用される商品です。また、「Annuity」は、RRIF (Registered Retirement Income Fund) の様な「制度」ではなく、あくまで一般名詞としての「年金 (個人年金保険)」を意味する言葉で、各種金融機関や保険会社が提供する商品の種類の名称であると理解しましょう。
リタイアをすると決めた時点で、まとまった資金 (例えばRRSP資金) でAnnuityを「購入」し、その資金を元に商品のルールにしたがって、保証された決まった額を決まった期間あるいは生涯に渡って「収入」として受け取り続けることが出来ます。

金融機関や保険会社では複数のタイプや種類のAnnuity商品が用意されていて、その中から自分にあったものを選択することが出来ます。「商品」であるが故に、各商品の内部の細かなルール等はトレンドやニーズによって移り変わりがあるとも言えるので、本項ではあくまでAnnuityの大まかな仕組みと考え方を説明することのみに留めます。

Annuityの額

Annuityを購入するにあたってまず最初に考慮することは、その予算 (金額)。購入に当てられた資金が、自分がその後受け取り続ける収入の根本的な元本額になるわけですから、当然ながらその受け取り額を左右する最大の要素となります。RRSP資金を使ったリタイアメントというシナリオにおいては、RRSP資金の残高を最大額として、そこからいくらをAnnuityの購入に当てるかということを考慮することになります。
Annuityの購入は多くの場合一括支払いで行われますが、商品によっては、複数回に渡る支払いによる購入をすることも出来ます。

Annuityの期間

次に考慮されるべき大きな要素は、収入の受け取りの期間に関するもの。大きく分けて2つの選択があります。
  • Life Annuity
  • Term-certain Annuity
前者は、その名の通り一生涯受け取りが保証されるタイプのAnnuity
後者は、受け取り期間を指定して、その間だけ受け取りが保証されるタイプのAnnuity (例: 5年、10年、20年..)。
Life Annuityの利点は..
  • 一生涯受け取りが保証される
  • つまり、どれだけ長生きしたとしても、亡くなるまで受け取りが保証され続ける
  • 商品によっては、自分が亡くなった後に配偶者が受け取りを続けられるオプションも付けられる ..等々
不利な点は..
  • 購入資金分を受け取り切る前に、早く亡くなることもある
  • 配偶者が受け取る等のオプションを付ければつけるだけ、受け取り額は減る ..等々
対して、
Term-certain Annuityの利点は..
  • 指定した期間内の受け取りが保証される
  • 期間終了前に自分が亡くなった場合、配偶者等に対して期間終了まで受け取りが続けられる ..等々
不利な点は..
  • 指定した期間より長生きすれば、指定した期間後は受け取りがない状態となる ..等々
自分が想定するリタイア後の収入プランに合ったAnnuityの期間/種類を選択します。

その他の要素

購入資金 (元本) の額と、期間が選択された上で、それ以降に受け取り額を左右する要素には以下のようなものがあります
  • 性別
  • 年齢と健康状態
  • 亡くなった後の、配偶者等への受け取りオプションの有無
  • 想定運用利回り
  • 商品を提供する金融機関/保険会社そのもの
これらの点は、「Annuityは結局のところいわゆる『保険商品』である」という事実に立ち返ると、幾分理解しやすくなると思います。各種金融機関や保険会社は、様々な目的に合った複数の商品を各種オプションと共に提供しており、購入する側はそれらをよく吟味して自分にあった商品を選ぶ必要があります。



大まかなルールとしては以上の通り。
前項で示した、リタイアメント後の収入に関して考慮すべき以下の4点をAnnuityに当てはめた考えた場合、いくつかの点は単純化することが出来ます。
  • 十分な生活資金となる額を、
  • 節税をしながら、
  • 資金が尽きないように、
  • 自分がいつ亡くなるかはわからないという条件の中で..やりくりする
金額は確定させた上で購入するわけですから、「資金が尽きる」ことはありませんし、「Life Annuity」を選択したのであれば「自分がいつ亡くなるか..」を心配する必要もなくなります。また、運用益を気にして自分でやりくりする必要もなくなりますし、節税を気にしながら受け取り額コントロールする様な手間もなくなります。

ただし改めて、Annuityは結局のところ「保険商品」です。RRIFに比べて不利になる点や不自由となる点を受け入れる代わりに、「生涯 (または一定期間) に渡って収入が尽きない様にするための 安心を買う」為の商品であるということを、常に念頭に置く様にしましょう。



カナダ生活: GST/HST Credit 2023-04-13 04:38:00

GST/HST Creditとは

GST/HST Credit (Goods and Services Tax/Harmonized Sales Tax Credit) とは、低中所得者個人/世帯に対して支給される税額控除手当てです。
「Credit (クレジット)」と銘打たれている通り「GST/HST税 (つまり消費税) の控除」という扱いであることは間違いなのですが、この制度は、いわゆるタックスファイリング時に申告して利用できる控除という形で提供されているのではなく、「低中所得者個人/世帯には、普段の生活/買い物等において支払っているであろうGST/HSTを、還付金として返還しますよ~」という体、つまり家計支援手当てが直接現金で支給されるという形で提供されます。

受給資格

GST/HST Credit を受給するためには、支給月 (後述) のひと月前の時点とその月の開始の時点で、カナダ税制上の定義におけるカナダ居住者であることと、以下の条件のうちの一つを満たしている必要があります。
  • 19歳以上であること
  • 配偶者またはコモンパートナーがいること
  • 親であり、子供と同居していること

申請方法

GST/HST Credit の申請ためにすることは「タックスファイリングをする」ことだけです。申告する収入があるかないかに関わらず、また、リターンがあるかないかに関わらず、「タックスファイリングをする」ことで、CRA側は申請者に関する必要な情報を取得し受給資格の有無を判断し、該当月より支給を始めます。
(つまり多くの場合、特に既にカナダに数年以上住んでいてタックスファイリングもしっかりしている方の場合は、あえて申請をしていなくても、既に受給資格の精査と支給は行われています)

ある時期からあらたにカナダ居住者となったという場合は、タックスファイリングを待つことなく、下記のフォームを郵送により送ることで申請ができます。
  • 子供がいる場合: RC66 フォーム (Canada Child Benefits の申請書)
  • 子供がいない場合: RC151 フォーム (新規居住者のためのクレジットの申請書)

支給

支給額

GST/HST Credit の支給額は、前年の世帯所得額と子供の有無等を元に計算されます。
(低中所得者個人/世帯を対象とした制度であるため、設定所得額を上回る所得がある場合には、当然支給額は$0となります)

例えば現在のサイクル分 (2021年の所得額を元に計算され、2022年7月から2023年6月までの年サイクルで支給されている分) では:
所得が...
  • 単身の場合: $49,166 以下
  • 単身で子供が1人の場合: $55,286 以下
  • 単身で子供が2人の場合: $58,506 以下
  • ...
  • カップルで子供がいない場合: $52,066以下
  • カップルで子供が1人の場合: $55,286以下
  • カップルで子供が2人の場合: $58,506以下
  • ...
といった具合に上限額が定義され、実際の所得額に応じて...
  • 個人の場合の最大支給額: $467/年
  • カップルの場合の最大支給額: $612/年
  • 19才未満の子供一人につき: $161/年
として、実際の支給額が決まります。

繰り返しますが、自分の対象のカテゴリーで設定されている設定額より多い所得がある場合 (つまり「低所得者層」のカテゴリーに当てはまらないと判断された場合) は、GST/HST Credit の支給はなくなります ($0)。

支給日

GST/HST Credit の支給は、毎年7月5日、10月5日、(翌年) 1月5日、(翌年) 4月5日の年4回です。前年分のタックスファイリングを2月~4月に終え、申告された所得額を元に計算された支給額が、7月から翌年4月までの4回に分けられて支給されます。

支給方法

CRA の MyAccount を通じて direct deposit の口座をすでに指定している場合は直接振り込みで、そうでない場合はチェック(小切手)の郵送という形で支給されます。

まとめ

例えばある程度の収入がある状態でカナダへ移住し、タックスファイリングも毎年しっかり行っているといった場合は、(収入が高い為) 受給額が $0 となっているので、そもそもこの制度を知らないという方もいることでしょう。
逆に、例えば学生のステータスでカナダへ移住し、収入が無いためにタックスファイリングはしていなかった..といった場合は、受給資格があるにも関わらず制度を知らないがために手当てを受け取っていない..なんて事もあるかもしれません。
決して大きな額ではないかもしれませんが、制度をしっかりと理解し、資格のある場合はしっかりと受け取るようにしましょう。




Tax-Free First Home Savings Account 2022-04-12 09:23:00

Tax-Free First Home Savings Accountとは

Tax-Free First Home Savings Account (TFFHSA または FHSA) とは、「初めての住居購入に向けての頭金を貯めることを支援する」という名目で、カナダ政府が2023年より実施予定の、課税の免除を柱とした貯蓄支援制度です。
18歳以上でカナダ在住であり、住居購入を経験していない (詳細は後述) の全ての人に口座開設の資格があり、一年間につき最大$8,000、生涯合計$40,000の拠出が可能です。
また、拠出はそのまま該当年のタックスファイリングの際に所得からの控除として利用することができ、さらに運用利益に対しての課税が免除され、さらに「初めての住居購入のために利用する」限りにおいては、完全に非課税で引き出すことが出来ます。
したがって、RRSPとTFSAのそれぞれの利点を両方同時に持った、とても強力な非課税アカウントと言えるでしょう。
注意:
2022年の連邦予算案の一部として発表されたこの制度の実施は、2023年からです。2022年の現時点では、各種金融機関等ではまだこのアカウント/口座を開くことはできませんし、拠出を行うこともできません。2023年になり、各種金融機関がこのアカウント/口座開設に関する案内等を始めてから、問い合わせを行うようにしましょう。
* FHSAの様な非課税アカウント(Registered Account)の基本と、RRSP/TFSAと比較した際の利点等を理解するためには、そもそもTFSAとRRSPに関する理解は必須と言えます。TFSARRSPの詳細に関しては、それぞれの解説ページを参照してください。

アカウント開設資格

アカウントを開設するための資格は3つ。
  • 18歳以上であること
  • カナダ在住であること
  • アカウントを開設しようとするその年、または現時点から遡った4年の間、自らが購入した住居に住んでいたことがないこと。
    (つまり厳密には、過去に住居を購入したことがあっても、それが4年より前であり、さらに4年より前の時点からすでのそこには居住していないのであれば、アカウントを新規に開設することは可能であるということになります)

拠出

一年間につき最大$8,000、生涯合計$40,000の拠出が可能です。
TFSAとは違い、ある年において$8,000に満たない拠出しかしなかった場合でも、未使用の分が翌年に繰り越されるようなことはありません。一年間の最大拠出額は、どの年においても固定の$8,000です。そして生涯の拠出額合計が$40,000に至った時点で、それ以上の拠出はできなくなります (=それ以上の拠出をすれば、ペナルティが発生することとなる)。
つまり、最速で5年間 ($8,000 x 5年 = $40,000) で生涯拠出限度額に到達することができ、あるいはもっとゆっくりであれば、例えば10年間かけて ($4,000 x 10年 = $40,000) でゆっくりと拠出をするということもできます。
また、TFSAと同様に、複数の金融機関においてFHSAアカウントを開設することができますが、年間及び生涯の拠出限度額は当然そのままです。TFSAと同様、自分自身で拠出額の記録等を管理する必要があります。

拠出をした分の額は、その年のタックスファイリングにおいて、「控除」として利用できます。つまり、RRSPへの拠出と同様に、その年の課税対象所得額そのものを減らすために、総所得額から引き算 (deduct) することのできる項目として利用できるということになります。
重要:
RRSPに既に入っている資金からFHSAへ資金を移動 (transfer) させるすることで、FHSAへの拠出とすることも可能です。
この場合、RRSPからの移動は「引き出し」とはみなされないため、非課税で行うことができます。
  • ただしこの場合でも、FHSAの拠出限度額はそのまま適用されます。RRSPからの移動であれ、通常の拠出であれ、年間$8,000、生涯$40,000の限度額ルールはそのままです。
  • また、この引き出しによってRRSP側の年間拠出額が影響をうけることはありません。引き出しを行ったことによって、翌年のRRSPの年間拠出限度額が増えるようなことはありません。

運用

TFSAやRRSP/RESP等と同じく、拠出先によって様々な投資商品を通して運用をすることができます。そして、運用によって得た利益は完全に非課税です。「FHSAという箱」の中で運用をしている限り、利子利益やキャピタルゲインをタックスファイリングの際に所得として申告する必要は一切ありません (そもそもT5フォーム等も発行されません)。

引き出し

考え方として、TFSAと違い、頻繁な「引き出し」という概念は意識するべきでないとも言えます。「FHSAからの引き出し」とは、まさに「住居購入」の時が来た時に行う一括引き出し。それがこの制度の目的として想定されているメインの「引き出し」のシナリオとなります。「住居購入」の機会が訪れた際に、その目的 (主に頭金) に利用される限りにおいて、運用益分も含めFHSAから非課税で引き出しを行うことができます。

様々な理由により「住居購入」の機会が訪れない/訪れなかった場合に際しては、以下のような「逃げ道」的ルールが用意されています。
  • 71歳に至るまでの間で、いつでも自由にFHSAからRRSP (またはRRIF) に資金を移動させることが可能。また、この移動は非課税で行うことができ、さらにRRSPの拠出限度額に影響も与えない。
    (この場合は、結果的にその分を将来RRSPから引き出す際には所得となり課税対象となるため、FHSAの利点を失うという意味で、ペナルティ的要素となる)

  • FHSAアカウント開設から15年たった時点で、FHSA内の資金を使用する機会がなかった場合、アカウントは強制的に閉鎖される。その際は、上記のようにRRSP (またはRRIF) に資金を移動させるか、単純に課税対象の収入としてその時点で引き出す必要がある。



Tax-Free First Home Savings Accountを始めるべきか

これまで、住居購入の頭金を貯蓄するために利用できるRegistered Account (つまり、目的を指定されずに利用できる非課税貯蓄口座) はTFSAしかなかったわけですが、FHSAの登場により、住居購入資金貯蓄に特化したRegistered Account枠ができたわけです。将来カナダで住居購入を考えている方は、間違いなく利用すべき制度であると言えるでしょう。
例えば最初の5年間で毎年最大の$8,000を拠出し続け、その後投資利率5%を実践できたとするならば、15年後の残高は$75,600程。パートナーとの合計であれば$151,200。もう少し頑張って7.3%が実現できれば、1人$100,500、二人で$201,000程。それだけの資金を生み出す可能性のあるアカウントを、TFSAとは別の枠として持つことが出来るということです。

また、そこまで先の未来はまだ見据えて無く、「家を買わないかもしれない...」という懸念がある方も多いことでしょう。ただ、上記の2点の「逃げ道」的ルールは、結果的に家を買わなかったとしても (あるいはもっと極端に「そもそも家を買うつもりはない...」のだとしても)、結果的に少なくとも損をすることは無いようにデザインされたルールと言えます。

これらの点を鑑みても、少なくとも10年以上の単位で今後もカナダに住み続ける予定であるのであれば、Tax-Free First Home Savings Accountは、ぜひとも利用すべき制度であると言えるでしょう。



古い5件を表示
記事表示:
1-
6-
タイトルを →No順に表示  →更新時間順に表示