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カナダ生活: GST/HST Credit 2023-04-13 04:38:00

GST/HST Creditとは

GST/HST Credit (Goods and Services Tax/Harmonized Sales Tax Credit) とは、低中所得者個人/世帯に対して支給される税額控除手当てです。
「Credit (クレジット)」と銘打たれている通り「GST/HST税 (つまり消費税) の控除」という扱いであることは間違いなのですが、この制度は、いわゆるタックスファイリング時に申告して利用できる控除という形で提供されているのではなく、「低中所得者個人/世帯には、普段の生活/買い物等において支払っているであろうGST/HSTを、還付金として返還しますよ~」という体、つまり家計支援手当てが直接現金で支給されるという形で提供されます。

受給資格

GST/HST Credit を受給するためには、支給月 (後述) のひと月前の時点とその月の開始の時点で、カナダ税制上の定義におけるカナダ居住者であることと、以下の条件のうちの一つを満たしている必要があります。
  • 19歳以上であること
  • 配偶者またはコモンパートナーがいること
  • 親であり、子供と同居していること

申請方法

GST/HST Credit の申請ためにすることは「タックスファイリングをする」ことだけです。申告する収入があるかないかに関わらず、また、リターンがあるかないかに関わらず、「タックスファイリングをする」ことで、CRA側は申請者に関する必要な情報を取得し受給資格の有無を判断し、該当月より支給を始めます。
(つまり多くの場合、特に既にカナダに数年以上住んでいてタックスファイリングもしっかりしている方の場合は、あえて申請をしていなくても、既に受給資格の精査と支給は行われています)

ある時期からあらたにカナダ居住者となったという場合は、タックスファイリングを待つことなく、下記のフォームを郵送により送ることで申請ができます。
  • 子供がいる場合: RC66 フォーム (Canada Child Benefits の申請書)
  • 子供がいない場合: RC151 フォーム (新規居住者のためのクレジットの申請書)

支給

支給額

GST/HST Credit の支給額は、前年の世帯所得額と子供の有無等を元に計算されます。
(低中所得者個人/世帯を対象とした制度であるため、設定所得額を上回る所得がある場合には、当然支給額は$0となります)

例えば現在のサイクル分 (2021年の所得額を元に計算され、2022年7月から2023年6月までの年サイクルで支給されている分) では:
所得が...
  • 単身の場合: $49,166 以下
  • 単身で子供が1人の場合: $55,286 以下
  • 単身で子供が2人の場合: $58,506 以下
  • ...
  • カップルで子供がいない場合: $52,066以下
  • カップルで子供が1人の場合: $55,286以下
  • カップルで子供が2人の場合: $58,506以下
  • ...
といった具合に上限額が定義され、実際の所得額に応じて...
  • 個人の場合の最大支給額: $467/年
  • カップルの場合の最大支給額: $612/年
  • 19才未満の子供一人につき: $161/年
として、実際の支給額が決まります。

繰り返しますが、自分の対象のカテゴリーで設定されている設定額より多い所得がある場合 (つまり「低所得者層」のカテゴリーに当てはまらないと判断された場合) は、GST/HST Credit の支給はなくなります ($0)。

支給日

GST/HST Credit の支給は、毎年7月5日、10月5日、(翌年) 1月5日、(翌年) 4月5日の年4回です。前年分のタックスファイリングを2月~4月に終え、申告された所得額を元に計算された支給額が、7月から翌年4月までの4回に分けられて支給されます。

支給方法

CRA の MyAccount を通じて direct deposit の口座をすでに指定している場合は直接振り込みで、そうでない場合はチェック(小切手)の郵送という形で支給されます。

まとめ

例えばある程度の収入がある状態でカナダへ移住し、タックスファイリングも毎年しっかり行っているといった場合は、(収入が高い為) 受給額が $0 となっているので、そもそもこの制度を知らないという方もいることでしょう。
逆に、例えば学生のステータスでカナダへ移住し、収入が無いためにタックスファイリングはしていなかった..といった場合は、受給資格があるにも関わらず制度を知らないがために手当てを受け取っていない..なんて事もあるかもしれません。
決して大きな額ではないかもしれませんが、制度をしっかりと理解し、資格のある場合はしっかりと受け取るようにしましょう。




Tax-Free First Home Savings Account 2022-04-12 09:23:00

Tax-Free First Home Savings Accountとは

Tax-Free First Home Savings Account (TFFHSA または FHSA) とは、「初めての住居購入に向けての頭金を貯めることを支援する」という名目で、カナダ政府が2023年より実施予定の、課税の免除を柱とした貯蓄支援制度です。
18歳以上でカナダ在住であり、住居購入を経験していない (詳細は後述) の全ての人に口座開設の資格があり、一年間につき最大$8,000、生涯合計$40,000の拠出が可能です。
また、拠出はそのまま該当年のタックスファイリングの際に所得からの控除として利用することができ、さらに運用利益に対しての課税が免除され、さらに「初めての住居購入のために利用する」限りにおいては、完全に非課税で引き出すことが出来ます。
したがって、RRSPとTFSAのそれぞれの利点を両方同時に持った、とても強力な非課税アカウントと言えるでしょう。
注意:
2022年の連邦予算案の一部として発表されたこの制度の実施は、2023年からです。2022年の現時点では、各種金融機関等ではまだこのアカウント/口座を開くことはできませんし、拠出を行うこともできません。2023年になり、各種金融機関がこのアカウント/口座開設に関する案内等を始めてから、問い合わせを行うようにしましょう。
* FHSAの様な非課税アカウント(Registered Account)の基本と、RRSP/TFSAと比較した際の利点等を理解するためには、そもそもTFSAとRRSPに関する理解は必須と言えます。TFSARRSPの詳細に関しては、それぞれの解説ページを参照してください。

アカウント開設資格

アカウントを開設するための資格は3つ。
  • 18歳以上であること
  • カナダ在住であること
  • アカウントを開設しようとするその年、または現時点から遡った4年の間、自らが購入した住居に住んでいたことがないこと。
    (つまり厳密には、過去に住居を購入したことがあっても、それが4年より前であり、さらに4年より前の時点からすでのそこには居住していないのであれば、アカウントを新規に開設することは可能であるということになります)

拠出

一年間につき最大$8,000、生涯合計$40,000の拠出が可能です。
TFSAとは違い、ある年において$8,000に満たない拠出しかしなかった場合でも、未使用の分が翌年に繰り越されるようなことはありません。一年間の最大拠出額は、どの年においても固定の$8,000です。そして生涯の拠出額合計が$40,000に至った時点で、それ以上の拠出はできなくなります (=それ以上の拠出をすれば、ペナルティが発生することとなる)。
つまり、最速で5年間 ($8,000 x 5年 = $40,000) で生涯拠出限度額に到達することができ、あるいはもっとゆっくりであれば、例えば10年間かけて ($4,000 x 10年 = $40,000) でゆっくりと拠出をするということもできます。
また、TFSAと同様に、複数の金融機関においてFHSAアカウントを開設することができますが、年間及び生涯の拠出限度額は当然そのままです。TFSAと同様、自分自身で拠出額の記録等を管理する必要があります。

拠出をした分の額は、その年のタックスファイリングにおいて、「控除」として利用できます。つまり、RRSPへの拠出と同様に、その年の課税対象所得額そのものを減らすために、総所得額から引き算 (deduct) することのできる項目として利用できるということになります。
重要:
RRSPに既に入っている資金からFHSAへ資金を移動 (transfer) させるすることで、FHSAへの拠出とすることも可能です。
この場合、RRSPからの移動は「引き出し」とはみなされないため、非課税で行うことができます。
  • ただしこの場合でも、FHSAの拠出限度額はそのまま適用されます。RRSPからの移動であれ、通常の拠出であれ、年間$8,000、生涯$40,000の限度額ルールはそのままです。
  • また、この引き出しによってRRSP側の年間拠出額が影響をうけることはありません。引き出しを行ったことによって、翌年のRRSPの年間拠出限度額が増えるようなことはありません。

運用

TFSAやRRSP/RESP等と同じく、拠出先によって様々な投資商品を通して運用をすることができます。そして、運用によって得た利益は完全に非課税です。「FHSAという箱」の中で運用をしている限り、利子利益やキャピタルゲインをタックスファイリングの際に所得として申告する必要は一切ありません (そもそもT5フォーム等も発行されません)。

引き出し

考え方として、TFSAと違い、頻繁な「引き出し」という概念は意識するべきでないとも言えます。「FHSAからの引き出し」とは、まさに「住居購入」の時が来た時に行う一括引き出し。それがこの制度の目的として想定されているメインの「引き出し」のシナリオとなります。「住居購入」の機会が訪れた際に、その目的 (主に頭金) に利用される限りにおいて、運用益分も含めFHSAから非課税で引き出しを行うことができます。

様々な理由により「住居購入」の機会が訪れない/訪れなかった場合に際しては、以下のような「逃げ道」的ルールが用意されています。
  • 71歳に至るまでの間で、いつでも自由にFHSAからRRSP (またはRRIF) に資金を移動させることが可能。また、この移動は非課税で行うことができ、さらにRRSPの拠出限度額に影響も与えない。
    (この場合は、結果的にその分を将来RRSPから引き出す際には所得となり課税対象となるため、FHSAの利点を失うという意味で、ペナルティ的要素となる)

  • FHSAアカウント開設から15年たった時点で、FHSA内の資金を使用する機会がなかった場合、アカウントは強制的に閉鎖される。その際は、上記のようにRRSP (またはRRIF) に資金を移動させるか、単純に課税対象の収入としてその時点で引き出す必要がある。



Tax-Free First Home Savings Accountを始めるべきか

これまで、住居購入の頭金を貯蓄するために利用できるRegistered Account (つまり、目的を指定されずに利用できる非課税貯蓄口座) はTFSAしかなかったわけですが、FHSAの登場により、住居購入資金貯蓄に特化したRegistered Account枠ができたわけです。将来カナダで住居購入を考えている方は、間違いなく利用すべき制度であると言えるでしょう。
例えば最初の5年間で毎年最大の$8,000を拠出し続け、その後投資利率5%を実践できたとするならば、15年後の残高は$75,600程。パートナーとの合計であれば$151,200。もう少し頑張って7.3%が実現できれば、1人$100,500、二人で$201,000程。それだけの資金を生み出す可能性のあるアカウントを、TFSAとは別の枠として持つことが出来るということです。

また、そこまで先の未来はまだ見据えて無く、「家を買わないかもしれない...」という懸念がある方も多いことでしょう。ただ、上記の2点の「逃げ道」的ルールは、結果的に家を買わなかったとしても (あるいはもっと極端に「そもそも家を買うつもりはない...」のだとしても)、結果的に少なくとも損をすることは無いようにデザインされたルールと言えます。

これらの点を鑑みても、少なくとも10年以上の単位で今後もカナダに住み続ける予定であるのであれば、Tax-Free First Home Savings Accountは、ぜひとも利用すべき制度であると言えるでしょう。



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